りぼんメモリアルと浪費図鑑から感じた男女の思い入れの違い
最近、似たようなテーマの本を同時に手に入れました。
浪費図鑑―悪友たちのないしょ話―/劇団雌猫 (著)
りぼんメモリアル/神保町クラブ(れもん&スカッシュ) (著)
浪費図鑑
浪費図鑑は様々なジャンルのオタク(not 蔑称)が好きなものとそれに対する支出をテーマに自身の活動を紹介した本。
アイドル、お笑い芸人、宝塚、ホスト、ディズニー……語っている人全員が対象に対する思いが強すぎてヤバいことになっている(主に貯金が)。強すぎる愛のせいでガラパゴス化しまくった言語感覚や考え方が紹介されており「うわ!こんなん勝てねェよ!こんな強いパンチライン、シラフじゃ打てねェ!!」と電車の中にも関わらずフヒヒヒと笑ってしまった。
僕自身はオタクであったことはなく(自分ではそうではないと思っているんだけど「オタク」と呼ばれる事が多いので、オタクなのかもしれない{そういや、先日喋り方がオタクっぽいと言われてメチャクチャショックだった、たしかに早口だとは思うけど。その後「文章にもオタクっぽさが出ている」と言われてサ、なんだよそれ!逃げ場ねえじゃん!})、好きになったモノにもお金をそこまで積まないドライな感じだったので、バンギャのツアー全通などは当たり前みたいな逸話を聞いていると、面白いような羨ましいような気持ちになる。
この本に書かれている"何かを捨ててまで(主に貯金を)対象に愛を注ぐ"という行為を見ると、自分が思っている好きと、この人らの好きは重みが違うのだろうか?と考えさせられる。
ちなみに「考えさせられますね」とは、なんにも考えてなかった時に使うといいコメントだが、上記は本当に思いました。もちろんお金=愛ではないとは思うのだけど、愛∋金かな?
自分は一時期ももクロがすごく好きだったんですが、CD購入特典で握手会があった時でも同じCDは絶対買わないと心に決めていた。なんでだっけ?単純にお金がなかったのもあるけど「一人が100枚ずつ買ってオリコン一位を獲るよりも、色んな人が1枚買って一位獲るほうがカッコイイ、そしてももクロにはそうなってもらいたい!だから俺は複数枚買いはしない!!」みたいな謎な視点を持っていることに誇りを持っていた、もしくは言い訳にして"分かっている"ファンを気取りたかったのであろう。〜あろうとか推定口調にしてるけど自分の事じゃんね?
この様な精神を保ててたという事は浪費図鑑の登場人物よりも好きな物への思いが低かったのだろうか?いや、ケチだったのか……
浪費図鑑の最初はソシャゲのあんスタにハマった女性のエピソードから始まる。堂々と好きな物に落としたお金=作品への愛=他者への課金マウンティングと言っており「なんて悲しいお金の使い方……けどエッチな絵のレアカードが欲しいならしょうがない……」と思いました。
他の登場人物のエピソードも極々であり、なんでこんなに面白いのだと思ったのだけど、伊集院光のラジオで自ギャグの詩っていう自分の悲しい思い出を自虐的にネタにするっていうコーナーがあって、それに近い感覚かなと思いました。
物事の例えとして伊集院光のラジオって単語を出すところはとてもオタクっ気がありますね
浪費図鑑は女性のオタク(褒め言葉としての)のエピソードしか載っていないんだけど、もしこれの男バージョンが出ても絶対笑えないなと思うんだよね?それってザ・ノンフィクション案件か、知識おじさんの自分語りになってしまう気がして。
なんだろう?この本の登場人物はみんな
「ああ〜〜〜〜〜!!!いけないとは分かってはいるけど〜〜〜〜〜!(ジャキーンジャキーン{残高が減っていく音})自分の愚かさには気付いているけど〜〜〜〜〜〜(ゴポゴポゴポ{in to the 沼})」
という、分かっちゃいるけどやめられないというカルマを背負ってしまった感じがすごくいいのと愛らしい。
例えばコレがビートルズマニアのおじさんの文章だったら
「ン〜〜〜……まあこのレコード?これはイギリスでしか売ってない、しかも海賊版の方なんだけどサ……ん?ほらここ見てよ?あっ、見て分からない?これねぇ印刷ズレ起こしてる貴重な初期版……フフ(ヒゲをなぜながら)」
みたいな、なんかいけ好かない感じになると思うんだよね。
この違いは何から来るものなのだろうか……
あと、普段インターネットで目にするヲタはアイドルか二次元なのですけど、どこの世界にも落とし穴はあって、それにハマる人が集まる界隈ってのは見えてないだけであるって感じました。
俺が見ていたのはごく一部!!!
本の冒頭にも書いてあるのですが、インターネットで見えてこない世界がのぞけました。
りぼんメモリアル
りぼんメモリアルは少女漫画誌のりぼんを愛する著書が発行したりぼんのデータベースの様な本。こちらは同人誌としての販売なのですが、web上で1000人のりぼんファンにアンケートを取って声を集めていたり、りぼん本誌にしか載っていないであろう(=本誌を持っている)作者コメントを集めていたりと愛が詰まっている。
なぜ僕がコレを購入したかというと岡田あーみんが好きだからである。
僕には姉がおり、姉が買ったマンガをよく読んでいた。
などの単行本が家にありよく読んでいた。姉が少女漫画誌を買っていたかどうかは覚えていないが、買っていた単行本を見るにりぼん派だったのだろうなと思う。
中でもちびまる子ちゃんは何周も読み、細かいセリフをいちいち覚えるくらいには読み倒した。好きなマンガは?と聞かれたら真っ先にちびまる子ちゃんと答えるだろう。
好き過ぎてオモコロにちびまる子ちゃんネタの記事を書いた。
この記事はもう少し詰めて完全版を作りたい。そしてちびまる子ちゃんの魅力再発見記事を書きたい。アニメのイメージが強すぎるせいでコミックまで目を向けている人が少ない気がする。あと、もっとウケてほしい
で、このちびまる子ちゃんの二巻に収録されている岡田あーみんとの合作が当時大好きで何度も読んで笑っていた。パピィがエレベーターに吸い込まれて「うわぁーーーー」と叫ぶシーンは漫画史上一番面白い「うわぁーーーー」なんじゃないかと思っている。
当時は「ちびまる子ちゃんに変なキャラが現れたぞ!!」程度の認識だったのだが、岡田あーみんという人の漫画のお父さんは心配性とのコラボというのが分かり、後にバイト代で岡田あーみん作品全てを買った次第である。
僕は1988年生まれなのであーみんを読んでいる人など周りにいるはずもなく、そもそもちびまる子ちゃんの漫画を読んでいる人にもほとんど出会えなかったので、20過ぎてから偶然知り合った人がちびまる子ちゃんもあーみんも好きな年下の女の子で、覚えてるコマを言い合ってゲラゲラ言い合いながら大塚の糞安い居酒屋で飲んだのが面白かった!
「あっ!!!なんだっけ?カルタで負けて泣いたあの女!!」
「お正月に来てた子!?」
「そうッ!!!両手に涙こぼしながら泣いてた頭頂部がポンポンポンってなってる男みたいな女」
「アッ!みどりちゃん!!???」
「アーーーーーー!!!(ゲラゲラ)」
「カルタでwww倒れながらwww取ってたwwwww」
元々好きなものに対して「そんなこと誰もおぼえてねえよ!」みたいな細かい所まで覚えてしまうタイプだったので、同タイプの人と会ったときは話が止まらない!
話がそれてしまった。りぼんメモリアルに話を戻す。
という訳でりぼんメモリアルはあーみん特集が見たくて買ったのだが、この本はちびまるこちゃん愛、岡田あーみん愛などの単品愛ではなく、りぼん愛なのョ!
アイドルのメンバーの一人を推す異なるを単推し、そのアイドルグループ全体を好きな人のことを箱推しというが、まさにソレ!りぼんを好きな人は漫画だけでなくりぼんが教えてくれた文化も含めてりぼんが好きなのだろう。
果たしてこれって男子の文化にもあるものだろうか?
僕も週刊少年ジャンプは一時期買って読んでいたが、週刊少年ジャンプ自体に対する愛はほぼない。王様はロバ、世紀末リーダー伝たけし、ジョジョの奇妙な冒険、こち亀が載っているからジャンプを買っているという感じで、週刊少年ジャンプというより週刊の漫画集としてしか見ていなかった。
男の子にとっての少年ジャンプ≠女の子にとってのりぼん
なのだろう。
りぼんメモリアルから感じられるりぼん愛を見るに、りぼんは漫画集ではなく、女の子のライフスタイルにまで影響を与えるなにがしかが載っていたかのように思える。
*黄金期と呼ばれる時代のジャンプは別なのかもしれません
ありがとうございます!確かに少年漫画の方は、作品ファンが多そう。私はりぼんはなんというか「りぼんがあった生活」と一緒の思い出となっているというか、その時のライフスタイル含めた思い出になってるんですよね… りぼんに比べてコロコロの男子文化はリバイバル文化おかがあって、羨ましいです
— ピノピノ (@creamyblog) 2017年8月20日
りぼんメモリアルについてつぶやいたところ、著者の方からリプライを頂いた
どちらかというとりぼんはコロコロやボンボンに近いのだろうか?コロコロやボンボンは次に流行る(流行らせたい)おもちゃやゲームなどの情報も多く掲載されておりタイアップ漫画なども多かった。小学校の話題は主にこの雑誌からだった。ミニ四駆やビーダマンはコロコロが産んだ文化と言っていいでしょう。
実際の生活まで浸食していたのがコロコロやボンボンそしてりぼん等なのかな?と。
ただなんか、男の子文化と代替出来ないなにかがりぼんにはある様に思えるんですよね!応募者全員サービスってコロコロはそんなになかった気がするし、しかもファッションアイテムとかじゃなかった気がするし。
しかもコロコロが載せてた漫画以外の文化っておもちゃとかゲームで、20歳くらいになったら卒業する人も多い文化じゃないですか?
ただファッションとかかわいいものは女の子は永遠に卒業出来ない文化じゃないですか?死ぬまで引っ張る価値観をりぼんによって植え付けていたのかなあと……だからこんなに愛があるのかなあ……
語られてこなかった文化なのか、見えないところで語れていたものがいま自分の前に可視化されて現れたから自分が一人で興奮しているのか……
なんとなく買った2冊でしたががどちらも女の子の愛に関する本でした。オモロでした。
愛が詰まった文章を見るのはいいですね、偏愛がちゃんと文字に落とし込まれていて体重が載っている文字列は強い、エグい、ゼツい。あまり同人誌文化には馴染みがなかったのだけど、コミケとかには知られざる体重の載った薄い本が大量にあるのだなと思う。
もし自分が愛と熱量を込めて同人誌にして語れるモノって何かなぁと考えた。
深夜ラジオとふかわりょうさんくらいか?あと玉屋2060%(wienners)か……
そんな薄い本読みたい人います?
姉とのLINE
りぼんの話をしていたら昔読んでいたマンガのタイトルが気になりLINEをした。
過去にとらわれている弟、今来ているセブ島を大事にしている姉。
すごく性格が表れているやりとりだと思ったね!