通販狂いだったウチの叔父の末路

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お正月の度に行く、父方の実家。俺はこの家がすごく苦手であった。『じいちゃん子、ばあちゃん子=いい人間』って雰囲気がこの世にはあるが、ハッキリ言ってじいちゃんばあちゃんが俺は苦手であった。

 

その家は栃木の田舎の方にあるのだが、マジで娯楽がなにもなく、付近のエンタメは歩いた先に見つかる酒屋兼コンビニの「さくらい」のみという事から何もないのが分かって頂けるであろうか。誰よ桜井って?日奈子?(「車で1時間飛ばさないと店なんてないウチの方が田舎じゃい!」とかいう田舎マウンティングはやめてくんろ……)

 

母方の実家の方は従兄弟も住んでいたり、客間がある(なにせお寺なので)のでリラックスしてTVを観たり暇つぶしが出来たのだが、こちらの家はリビングにしかTVがないし、寒いし、出て来るご飯も茶色成分が多く、小さいながら全てに萎えていたのを覚えている。じいちゃんはおっとりとして耳が遠いし、ばあちゃんはばあちゃんでよくいる「せっかちなウルセェばあちゃん」という感じで早く帰りたい、お年玉だけくれろ。そんな感じでお正月は萎えていた。仮病すら使って拒むほどであった。

 

特にイヤだったのが叔父だ。父の兄である。見た目は笑顔が一切なくなったガリガリ君に、ほぼ工業製品に近い眼鏡(レンズとレンズの間にが水平にフレームが付いているタイプ)をかけた感じ。

叔父はいつからか仕事中の事故で杖が無いと歩けず、左側の身体が動かしにくい状態になってしまった。とは言ってもゆっくりながらも歩けるし、車も運転出来るので深刻な状況ではないのだが、まあインドアな生活を送っていたと思う。父によると元からインドアな性格だったらしいのだが事故以降は更にそうなった様で。服も毎日の様に上下灰色のスウェットだったので都内に住んでいたら近所の子供からあだ名をつけられそうな風体である。

じいちゃんばあちゃんが亡くなってからは叔父がその家に一人で暮らす様になり、たまにヘルパーさんが来る程度で話し相手などもいなかったのだろうと予想できる。遺産や事故時の保険金などでそれなりに貯蓄はあるようで、全く働かずに何年もその家で過ごしていた。

 

ジジババが亡くなった後は墓参り後、叔父の住む家に寄るのが慣習となった。ジジババがいた頃はたまに泊まっていたが、亡くなってから特に話せる事もないので近況確認くらいしたら帰るという日帰りコース。父も叔父の生活スタイルには参っている様だった。それもそのハズで家に寄る度に家電が増えてどんどん豪華になっていくのだ。テレビは一畳くらいのどデカイもの→テレビ台が付属→レコーダーが追加→予備のHDも追加と来る度にランクアップしていった。その他にも絶対に使わないであろうノートパソコンと初心者用操作DVD、タブレット、モバイルWi-Fi、テプラ、FAX、メガネ洗浄機、宇宙戦艦ヤマトのDVD-BOXなど増える一方。ほとんど未使用だ。そりゃそうだ、叔父は器用に体を動かせないのだから。もう手当たり次第買っているといった感じであった。

何故こんなに物が増えていくのか?それは聞いても分からなかった「必要だかんべ」「◯◯な時に使うべ」などと機嫌を損ねながら返答する様子や聞こえないフリをする叔父を見て、なんと言うか可哀想というか、俺が同じ立場になったらこういう事をしないか考えてしまう。こういうのは実際の立場になってみないの分からないのだろう。体も上手く動かせず、話し相手もいない叔父はTVや買い物でしかストレス発散出来なかったのではないだろうか?使う・使わないなどはどうでもよく「お金を使う→物が届く」この行動でストレスが発散出来てきたのではないだろうか?消費がストレス解消なのだ。

そしてそういうことでしかストレスを解消出来ないことにも自ら気付いてはいたが、上手く気持ちの表現も出来ないし、したところで変わらない事に無意識に悩んでいたのではないだろうか?ゴミ屋敷に住むジジイやウンコを庭で煮込んでいたジジイも同じで、心のやり場のなさがそうさせているのではないのだろうか?

ただこの叔父の買い物で笑ったのがキャンプで使う用のかなりいいダッチオーブンが2種類、山登り用の携帯ガスコンロがキッチンに置いてあった時だ。その身体で山って死にに行く気か。そこは判断つくだろ。

セールスマンにとっても絶好のカモだった様でその証拠にインターネットもしないのにWi-Fi契約しているし、しかもモバイルWi-Fiもあるし、シロアリ駆除詐欺(実際はなにもしないのに床下が危ないとか言って大金をせしめる詐欺)も受けてたし。両手には新聞広告でみつけたという数珠を着けて「体の痛みが治った」とか言っていたし。騙されている人を目の前にすると「そんなん嘘だよ!やめなよ!」なんて言えないのである。

 

とにかくこの家に来る度に俺は苦虫を噛み潰したような顔をして時間が過ぎるのを待っていた。途中から叔父から使わないものを貰いヤフオクに流す転売ヤーと化してからは面白くなったけど。

 


三年前だろうか。その叔父が亡くなった。

 

亡くなってからは叔父がいないので家の掃除が細かいところまで出来るようになった。その掃除をしながら俺は

 

「性欲というのは衰えない」

 

と強く思ったのだ。

 

宇宙戦艦ヤマトのDVD-BOXが置いてあった棚の引き出しを開けると大量にエロDVDが収まっていた。観ていたのか?シコったのか?そして熟女モノだらけだった。タイトルには「おふくろ」の文字が並ぶ。やはり、同年代にムラッとくるのだろうか?逆にJKものとかでなくてよかったとココは安心するべきなのか?


机の上には正方形の白い袋があった。ずっと薬だと思っていたのだけど、これは…コンドームじゃないか。バカ!お前そんなのもう必要ないだろ!!手にとって見るとさらに驚いた、これはゴムじゃない、これは愛じゃない、愛はオシャレじゃない。

コレは……マイラップじゃないか!いわゆる包茎矯正リングだ。

 

 

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オメェ〜、動けないに癖に買ったんかい!!見栄張りたいんかい!しかも大きい人用、小さい人用どちらも発見されたのだ。不測の事態に備えるな。「うーん……迷ったから……どっちも買っチャオ♪」じゃねえ。

 

机にあるノートPCは埃をかぶっていたがちょっとだけ使っていた様で、アダプタに「電源」などテプラで作ったシールが貼られていた。ただ気になったのはUSBのところに「鼠」と漢字でシールが貼られていた事だ。鼠?…マウスのこと?なぜここで漢字表現を?と思った。しかしその理由も発覚する。

PC横のプリンタに目をやると初心者が時間をかけてWordで作ったであろう書類がみつかった。


「親愛なママへ、俺は一番貴方を大切におもっている。この気持ちをうけとってれ。この気持ちどうすればいい、どうにも出来ないだ。我爱你」

 

改行もまばら、フォントもめちゃくちゃで出力されていたA4の紙を発見した。本棚を見ればテキトーに買ったであろう本に混じって「中国語講座」などの本が見える。叔父は中国のホステスに入れ込んでいたのだろう。正月はずっとTVを見て、何も考えていない様に見えた叔父はチャイナホステスにハマっていたのである。PC周りに中国語のシールが貼られていたのはホステスにパソコンを教えてもらってたのか、ただ単に中国語に慣れるためか…とにかくママきっかけなのは間違いないであろう。いや…間違いであって欲しい。

 

俺は性欲には終わりがないと感じた。どんな状況であれ男はエロには興味があるのだ。もうエロに興味があるだけで健康なんじゃないか?なんかそれを見て叔父に対する気持ちがグッと変わった。同じ男じゃん、俺が勝手にバイアスかかった目で見てただけじゃんって。

 

お墓参りも今後は真剣にやるよ、そう思ったね。

 

 

 

そして今年。例にも漏れず墓参り兼掃除に向かった。

 

一年ぶりに訪れるこの家。どうやら父は家を売る決心をしたようで、最後の掃除になるだろう。この棚にあるヴィンテージのカメラもヤフオクだと2000円くらい、このバリカンは1000円くらいと既に調べてある。その程度ならもう売らなくていいか。掃除機をかけながら考えていると、ラックに名刺入れが置いてあるのに気付いた。ケースを開けてみると叔父が自分で作ったのだろうか、ところどころ綴りなど間違えた名刺が出てきた。

 

職業の欄には「時を遊ぶ人」と書いて

 

 

「時遊人(じゆうじん)」

 

だって……

 

 

 

殺したろかいッ!!(死んだけど)

 

まあこういう人だったのかと、もう笑い話だよね。しかし俺は更なる発見をしてしまったのだ。こちらがその名刺の画像だ。刮目して欲しい。

 

 

 

 

 

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人は、皆好きに成ることから始まり愛し合う。

 

だってサ……

 

お前、誰??????

 

 

 

 

 

 

 

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いや、ケータイのアドレス「もっこりギンギンパパ」って!!

 

 

 

終わったジジイのエロ・ユーモア笑えねえよ!!

 

 

そんな血を引き継いでるのがこの俺だ!これからもよろしくな。