お手本の様なツッコミ

人生でお手本の様なツッコミが偶然決まってしまう時がある。いや、そのジャストツッコミを言わざるを得ないよしもと新喜劇の様なトラブルが起きた時があると言った方が分かりやすいかな。

 

 

高校3年の時、俺のケータイにクラスメイトから一通のメールが来た。イトウマイコからのメールである。コイツは高1の時にも同じクラスメイトであったが、当時色々な勘違いが重なり俺はめちゃくちゃにクラスメイトの愚女どもに嫌われていた(ここで愚女とか言ってストレスを発散している様な生き様から嫌われるんだけど)、コイツはその筆頭の内の1人である。学年が上がり、俺が高1の時のクラスメイト以外と信用を築き上げ、まあまあの信頼を得ていくとこのイトウマイコは自身の行動をまるでなかったかの様に、態度を「クラスメイトの頼れる男子の内の一人、大木くん」的な扱いで接する様になった。俺は内なる闘志をメラメラ燃やしながら「コイツは手の平を返したストューピッド」と思いつつもまあ当たり障りもない接触をしていた。

 

そのイトウから来たメールというのが

 

「同じクラスの飯原って女の子知ってる?あの子がね、大木君のアドレス知りたいんだって!教えてもいい??」

 

といったものであった。飯原というのはスクールカーストでいうと下の方の女の子なのだが、何故かまあまあ活発なイトウと仲が良い子だ。ミニラをラグビーボール型にギュッと圧縮した様な顔をしている。こんな事言われても断る理由は特にないので了承すると、すぐにミニラ.zipからメールが来た。

 

「急にごめんなさい!あの……大木くんって付き合っている人っている?」

「いや…いないけど、何?」

 

いないけど、何?じゃねえよな!俺も!この流れで何言われるかは分かってたクセに!!

 

「あの…もし良かったら彼女になってくれないかな?」

 

と、メールで告白されたのである。ここで問題点が一つ。俺はこの飯原と話した事がない!何故コイツは話した事もない俺を好きと言えるのだろうか??確かに顔は一部にウケそうな顔してますよ!!!???しかもちょうどいい清潔感とオシャレさだし!!あとユニークだし!!日高屋の割引チケットも持ってるし、何なら福しんのもあるしね!ええ、分かってますよ。地味のメガネ男子好きにとってはかなりいい物件だもんね!!!!!

 

「いや…ごめんなさい。俺、飯原さんの事そんな知らないし…」

 

と、至極当たり前のような返答をする。相手からメールが来てからこの返信をするまで間1時間もなかったと思う。初絡みで振るって逆おはズボッ!じゃないか。短い春だったよ。

 

次に来たのがこういうメールであった。

 

「そっか……。ところで大木君って、下の名前なんていうの??」

 

ここでタイトルの通りお手本の様なツッコミが冴え渡る。

 

「いや!知らんのかい!!!!!!!」

 

この流れ、完全によしもと新喜劇だ。好きな癖に俺の下の名前知らんのかい!!!もしハリセンの絵文字があれば「いや!知らんのかい!!!!!!!」 のあとに7個つけてミニラ.rarに返信していたであろう。

短い、的確、タイミングもバッチリの俺史に残る名ツッコミであった。

 

その飯原であるがFacebookで検索する度、病んだつぶやきを度々しておりガッツリメンヘラになっていた。

 

「いや!俺を好きになった人幸せにならんのかい!!!幸せであれ!!!」

 

このツッコミはあまり上手くない。あと三四郎小宮のパクリだし。