三つ子の魂と銀行口座とメールアドレス百まで
三つ子の魂百までということわざがある。三歳までに覚えたことは、大人になっても変わらないという意味であるが、同じく「銀行口座も百まで」ではないかと思うのだ。「初めてバイトをした時に作った口座」を未だに使い続けている。
俺が高校の頃、最初のバイト先に選んだのが吉野家であった。狂牛病でいわゆるXデーがバイト初日、めちゃくちゃ混んでたのを思い出す。給与を振り込む為に作らされたみずほ銀行の口座を30歳になった今でも使っている、なんとも感慨深いではないか。いや、別に感慨深くはなかった。なんというか不思議だ。
銀行口座って法人でも作らない限り、一生に2,3個しか作らない。強制されない限り作らない。全国の銀行口座を作るのが趣味な人いそうだ、デイリーポータルZで取り上げてほしい。俺はやらない。ジャパンネットバンクすずめ支店という口座名のダサさをどうにかしてほしい。
同じくPCのメールアドレスも最初に作ったものが、今のメインのアドレスである。買い物などでアカウントの登録する際は、そのアドレスを使用している。
ということで、そのアドレスの送信済みフォルダを見ると当時送っていたメールが見られるのだ。ここを掘り返していくと、自身の軌跡が確認出来る。
「ああ、俺はこの時ヤフオクでギターの機材を買っていたな」
「そもそも、ヤフオクって落札したら出品者と直接やり取りしていたな」
「このトランペット出品者、グーゼン近くに住んでいたからコンビニで待ち合わせてやり取りしたな」
など。
最初の方の送信済みメールの日付を見ると高校時代であった。同級生とやり取りしているのが見つかった。
思い出した。高1の頃、クラスの目立たない女子と毎日の様にパソコンでメール交換をしていた。俺は高1のころ逆ディズニーランドばりにクラスの女子から嫌われていたのだけど、その子だけにはそんな状況を愚痴れたのだ。特にクラスで話した覚えもないけど、なぜかその子には気持ちを吐露していた。2年に上がって、その子とはメールしなくなったし、話さなくもなった。なんだったんだ、あの関係性は。
そんなメール以外にも、辞めたテコンドー教室への入会希望メール、恥ずかしくて結局行けなかったダンス教室の値段を確認するメール。
恥ずかしくなって掘り返すのを辞めた。
でも、このメールアドレスは使い続けるのだろう。今は別に好きでもないバンド名が入ったこのhotmailのアドレスを。